
先日、ある中小企業から「ホームページの運用が重くて困っている」と相談を受けました。聞いてみると、悩みはどこの会社でもだいたい同じです。
「数ページ直したいだけなのに、業者に頼むと10万円。しかも1週間待ち。」
これ、もう我慢しなくていいです。今日はその話を、できるだけ現場目線で書きます。
「WordPress+レンタルサーバー+ドメイン」という10年の常識
新しくサイトを作るならWordPress。そのためにレンタルサーバーとドメインを契約する。これがこの10年以上、ずっと“鉄板”でした。私自身、2004年頃からエックスサーバーやロリポップ、さくらを使い、その後はWordPressが最初から入っている環境を当たり前のように使ってきました。
その前提が、ここ最近で崩れました。もうレンタルサーバーも、場合によってはドメインすらも、必須ではありません。

Cloudflare Pages、Netlify、GitHub Pages。このあたりを使えば、サイトの公開はびっくりするほど簡単になりました。会社サイトならドメインは取った方がいいですが、「サーバーを借りてWordPressを入れる」という出発点そのものが、もう当然ではなくなっています。
昔は“無料で作れるサイト”といえば、広告が強制表示される、いかにも怪しいやつ、という印象でした。それも消えました。みんなスマホで見ているので、ドメインがどこかなんて、もうほとんど気にしていません。会社サイトから予約フォームやメールフォームで外部に飛んでも、昔感じた“いかがわしさ”はなくなりました。
従来の「外注モデル」がはまっていた3つの罠
これまでのホームページは、基本的に外注が前提でした。安いデザイナーなら10万円くらい、制作会社なら数十万〜100万円。値段の幅は大きいのに、共通する“しんどさ”があります。私はこれを3つの罠と呼んでいます。

ひとつ目はコストの罠。数ページのちょっとした手直しでも、業者に出せばすぐ10万円。だから機動的に直せない。ひどい例だと、フルスクラッチで作ったデザインをWordPressに載せるためだけに、URLを発行する目的で中身のない固定ページを作る。そんな本末転倒も起きていました。
ふたつ目はスピードの罠。修正のたびに制作会社待ち。思いついた施策を、その日のうちに出せない。
みっつ目はリスクと制約の罠。FTPで本番ファイルを直接上書きする運用は、事故と隣り合わせです。しかもデザインがテンプレートに作り込まれていて、自分たちでは小回りが効かない。
Elementorのジレンマ
とくにElementorみたいなページビルダーで作られたサイトは、この“しんどさ”がはっきり出ます。見た目はリッチで自由度が高くて、デザイナーにとっては作りやすい。作る側には最適なんです。でも、運用する側と、見にくる顧客が代償を払っている。とにかく重くて、表示が遅い。プラグインなので本体の更新と相性が悪くて不具合が出ることもある。そして複雑すぎて、結局自社では編集できません。
潮目を変えた3つの技術
なんで今このタイミングなのか。3つの技術が同時に進んだからだと思っています。

ひとつはサーバーレスの進化。Cloudflareなどのおかげで、速くてインフラ管理のいらない公開環境が普通になりました。ふたつ目はスマホ中心になったこと。見る人の主役がスマホになって、ドメインの“見え方”にこだわる理由が薄れた。そして3つ目が生成AI。自然言語でコードが書けるようになって、エンジニアじゃなくても本格的なフロントを組めるようになりました。
新しい形:サーバーレス × AIによる“内製化”
私が考える「あるべき形」はシンプルです。GitHubやCloudflare、Netlifyでサイトを公開して、編集は生成AIで自社で回す。WordPressにこだわる必要はもうありません(コンテンツ管理として価値があるので、必要なら裏側で併用すればいい)。表側はHTML・CSS・JavaScriptで軽く作る。これで十分です。

いちばん大きいのは、エンジニアでもデザイナーでもない人が回せるようになったこと。
正直に言うと、私自身がエンジニアでもデザイナーでもありません。WordPressでたくさんサイトを作ってきましたが、動きのあるサイトを作ろうとするとテンプレート頼みで、「アコーディオンはこのパーツ、スライダーはこのパーツ」と、中身の技術はよく分からないまま当てはめていました。

それが今は、「ここをアコーディオンにして」と話し言葉で頼めばAIがやってくれる。Claude CodeやAntigravity、CodexみたいなWeb制作に強いAIで編集して、そのままgitにcommit/pushすれば公開できます。
地味に効くのが、ページをまたいだ修正をAIがまとめて拾ってくれること。メニューやタグの出し分けを手作業でやっていた頃は、適用漏れのページが後から見つかったり、ページ数が増えるとチェックが追いつかず「ここ崩れてるよ」と言われたり。あの取りこぼしが、ぐっと減ります。

更新のやり方そのものも安全になります。前は複数人がブラウザから本番のWP管理画面やFTPを直接触っていて、ずっと事故のリスクがありました。新しい形は、手元のPCでAIを相棒に編集してプレビュー、GitHubにcommit/push(履歴が全部残る)、そこから自動で公開。本番を直接いじる怖さから解放されます。
3つのやり方を並べてみる

早い、安い、自由。この3つが揃う。要は、Webの主導権を自社に取り戻すという話です。
レンタルサーバーは、そもそも何のためだったか
「じゃあレンタルサーバーは解約できるの?」ともよく聞かれます。考えてみると、レンタルサーバーを使ってきた本当の理由は、Web公開じゃなくてドメインとメールの運用でした。サイトの置き場というより、会社ドメインのメールのため、という会社が実は多い。

そのメールも、今はGoogle WorkspaceやMicrosoft(Outlook)に移る流れが進んでいます。1アカウント月1,000円以下から使えるので、中小企業のコスト感でも十分いけます。無料のGmailで会社ドメインのメールを使い続けたいなら、Cloudflareのメールルーティングという手もあります。
メールの置き場さえ片付けば、「サイトはサーバーレス、メールはWorkspace」という形にして、レンタルサーバー自体を手放す選択肢も現実的に見えてきます。
では、何から始めるか
難しく考えなくていいです。全部を一度に変える必要もありません。WordPressを使ったままでも、編集の内製化から始められます。最初の一歩はこれです。
- 自社サイトの“いま”を測る。どの技術で作られているか、表示に何ミリ秒かかっているかは、外から見てもすぐ分かります。
- 改善の見込みを具体的に出す。現状が分かれば、「どこを直せば、どれくらい速くなるか」が見立てられます。
- 編集を内製化する。業者任せの修正をやめて、AIで自社で直せる形に切り替える。

おわりに
「ホームページは業者に任せるもの」という常識は、静かに、でも確実に変わりました。直すたびにお金と時間がかかる状態から抜け出して、自分たちのサイトを自分たちのスピードで動かす。正直、これがこれからの普通になると思っています。
うちは、この“ホームページの内製化”を支援しています。「うちのサイトも内製化できる?」と思ったら、まずは現状を一緒に見るところから。
ご相談ください ― まずは「スピード診断」から

株式会社隠密のホームページ内製化支援は、次の3ステップで伴走します。
- インフラ診断と設計。今の構成・表示速度・メール環境をヒアリングして、最適な移行プランを作ります。
- モダン環境への移行構築。サーバーレス環境(Cloudflare/GitHub等)を組み、必要ならCMSの併用設定や既存コンテンツの引っ越しまで。
- AI内製化の伴走支援。Claude Code等を使った編集レクチャー。自社スタッフだけで更新・運用できるようになるまで、隣で手を動かします。
現状サイトのスピード診断とインフラの見直し、気軽にご相談ください。
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